寒くなってくると、増える猫の下部尿路疾患。
猫の下部尿路疾患とは、猫が排尿異常を示す下部尿路の問題を包括した疾患名です。
・何度もトイレに行ったり来たりして、トイレの回数が増える。
・オシッコが赤い
・排尿時に変な声を出す
・排尿後に陰部を気にしてなめる
・排尿姿勢をとるがオシッコがでない、または少量しかでない
・いつもと違う場所でオシッコをする
などの症状が見られます。
主な原因として、特発性膀胱炎、尿石症、尿路感染症などがあります。
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<<特発性膀胱炎>>
内因性の要因(膀胱粘膜バリアの機能低下、交感神経系の乱れ、内分泌系の乱れ、肥満)に
外因性の要因(トイレ、室内飼育、多頭飼育、音、光などのストレス)が加わることで発症します。
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症状
排尿時のいきみ、頻尿、血尿、排尿痛などがみられます。通常2~7日に自然寛解をすることが多く、再発と寛解を繰り返すことが多いとも言われています。
治療
多面的な環境改善が重要です。例えば、ごはんやトイレは静かなところへ置いたり、トイレの数を増やしたり、飲水量を増やす工夫をしてみることです。
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<<尿石症>>
食事中にマグネシウムやリン、カルシウムなどが過剰に含まれていると尿中に結晶や結石が形成されることが多くなります。また飲水量の少ないネコちゃんや肥満のネコちゃんも尿石症を発生するリスクが高いと言われています。
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症状
尿中の結晶や結石により血尿や排尿痛、頻尿などがみられます。
また結晶や結石が尿道に詰まってしまうと、排尿が全くできず膀胱内に尿が貯留し、尿毒症となり死んでしまうことがあります。
オシッコが出ていない場合は早めの受診を!
原因
尿結晶や尿結石にはいくつかの種類がありますが、ネコちゃんで多いのはストルバイト結晶とシュウ酸カルシウム結晶です。原因の80%を占めます。
治療
適切な食事(療法食)を食べることで、尿中の結晶を溶解させることができます。そして、結晶や結石が形成されないように予防・維持することができます。尿石症になったネコちゃんは一生療法食を食べることをオススメします。
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<下部尿路感染症>
尿路に病原体が侵入し感染症が起きます。
若い猫ではほとんど発生しないが、高齢になるほど増加します。
猫の場合は細菌性膀胱炎は特発性膀胱炎に比べると発生は少ないと言われています。
症状
頻尿、血尿、排尿痛、不適切な場所での排尿
治療
適切な抗菌薬治療を行うことで、経過は良好です。
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主な原因として、特発性膀胱炎、尿石症、尿路感染症などがあります。