パスツレラ症 (人畜共通感染症)
パスツレラ症 (人畜共通感染症)
概要
パスツレラ症は、牛の出血性敗血症、あるいは鳥類における家禽コレラなどの致死
的感染症の原因菌として知られています。しかし近年ペットブームとともに、人に感染するパスツレラ感染症が増加しています。ペットから人に感染した場合には局所化膿症、呼吸器感染症などを生じ、さらに糖尿病、肝障害、AIDSなど基礎疾患がある場合には重篤になり、敗血症、骨髄炎などの報告があります。
原因
パスツレラ属菌には10数菌種があり、そのうち人には4菌種が原因菌とされています。
症状
犬、猫では、口腔内常在菌のため多くは症状を示しません。しかし咬傷などにより皮下に化膿を呈したり、まれに肺炎症状が認められます。
検査、診断
血液寒天培地で培養し、菌の鑑別を行う方法や抗毒素抗体を検出する方法があります。一般的には、原因動物および感染経路を特定する疫学的解析が用いられています。
治療、予防
治療はペニシリン系、セフェム系、テトラサイクリン系の抗生物質が有効です。
また抗生物質の使用に際しては、耐性菌に注意を要します。
パスツレラ菌は、犬や猫の口腔内常在菌のため、抗生物質などで一時的に除菌しても、時間が経てば再度常在化します。従って人への感染予防はなるべく犬や猫に咬まれたり、引掻かれたりされないように注意して下さい。また、体の免疫力の低下している人は、犬や猫とキスをしたり、口から食べ物を与えたり、顔を舐めさせるなどの過剰なスキンシップには特に注意して下さい。