回虫症 (人畜共通感染症)
回虫症 (人畜共通感染症)
概要
犬に寄生する回虫には、犬回虫と犬小回虫の2種類が知られています。猫に寄生する回虫には、猫回虫とまれに犬小回虫が小腸に寄生して胃腸障害を引き起こします。また犬回虫の幼虫は、発育の間に体内移行を行い肝臓、肺およびその他の臓器や組織に移行してそれぞれの部位に障害を与えます。
原因
犬回虫
感染した子犬のほとんどが母親からの経胎盤感染であって(まれに経乳感染もある)、感染子犬は生後3週目から虫卵を排出します。6ヶ月以上になると成虫は消化管から自然に排除されるため、成犬での虫卵はほとんど確認できません。虫卵は排出後、10~20日で感染力をもつようになります。成虫の体長は雌で5~18cm、雄で4~10cmあります。
犬小回虫
犬、猫とも主に汚染糞便やネズミなど感染した待機宿主を捕食することにより感染します。感染後2ヶ月前後で成虫になります。犬小回虫の幼虫は体内移行を営まず、胎盤感染も起こさないので幼犬ではほとんど被害はなく、通常若犬猫、成犬猫で寄生がみられます。中卵は排出後、5~10日で感染力をもつようになります。成虫の体長は雌で5~18cm、雄で4~10cmあります。
猫回虫
感染した子猫のほとんどが経乳汁感染です。その他、汚染糞便の経口摂取やネズミ、ミミズ、ゴキブリなどの感染した待機宿主を捕食することでも感染します。犬回虫のように胎盤感染はしません。また、犬とは違い、成猫になっても成虫は消化管内から自然に排除されないので、長期にわたり感染源となります。虫卵は排出後、10~20日で感染力をもつようになります。成虫の体長は雌で4~12cm、雄で3~7cmです。
症状
若齢動物では、寄生数の程度により下痢、嘔吐、腹痛、腹囲膨満、発育遅延、衰弱、
寄生数が特に多いと腸閉塞を起こすことがあります。少数の寄生の場合には症状が
認められない場合もあります。
診断、検査
糞便検査で虫卵を確認し、類似する寄生虫卵を鑑別する。また、吐物または排便中の虫体の鑑別によって診断できます。
治療
各社から販売されている駆虫薬を投与する。
予防
人に犬回虫卵や猫回虫卵が経口的に摂取されると、小腸内で孵化して幼虫となり、腸壁から侵入して体内移行を始めさまざまな病態を引き起こします。症状により1、内蔵型トキソカラ症 2、眼型トキソカラ症 3、神経型トキソカラ症 4、潜伏型トキソカラ症 などの4型に分類されています。
予防としては、飼育する犬、猫の糞便検査を行い寄生虫がいた場合には、的確な駆虫薬を用いて駆除を行えば安全です。また早めの糞便の片付けや手洗いの励行は自己防衛の大切な手段です。
特に3~5歳の子供に好発するといわれていますので、小さなお子様の居る家庭で室内飼育の場合には十分な注意が必要です。また公園の砂場などは猫が排便することが多いので遊んだ後は十分な手洗いが必要です。